疲労回復のためのサウナ浴

 疲労とひと口にいっても、人さまざまな疲れがあります。心も身体もリラックスできるサウナは、疲労回復に大いに役立ちます。より効果をあげるために、疲労の仕方によって入浴法を工夫したいものです。

●肉体疲労は高温サウナ浴

筋の疲れや全身疲労などスポーツや労働の後の疲れには、比較的高温のサウナに入ると効果的です。

ひと風呂浴びてからサウナに入ると汗の出がよくなります。12~15分のサウナ浴後に冷水シャワーか水風呂に入り、もう一度サウナ浴をします。

サウナの直後はだるくてのども渇きます。水分補給を十分にして、30分くらいタオルを掛けて横になり、安静にしていれば、肉体疲労は回復するでしょう。

●ストレス解消はぬるめのサウナ浴

身体を余り使わないで頭や気を使っている人のストレスを解消するには、比較的ぬるめのサウナにゆっくりと入るのが効果的です。

サウナ室の低いところに座るか横になって、心も身体もリラックスして長時間(自分に合った時間)入浴すると、やがて眠りに誘われるような気分になるでしょう。

低度のサウナは神経の興奮を抑える鎮静作用があります。

サウナから出たら足に2~3杯の水をかけ、身体をタオルでくるんで湯ざめしないように注意して、20~30分安静にしています。

●感覚的症状には高温短時間浴

神経・感覚的疲労が高まると、肩がこる、腰がいたい、声がかすれる、まぶたがピクピクするなど、感覚的症状が出ます。こうした人のサウナは、刺激浴により自らの調節力を高めることが肝要です。

まずシャワーを浴びてからサウナに入ります。熱いサウナの短時間浴がよいでしょう。急に熱いサウナに入ると鳥肌反応が起きますが、こうした刺激浴が訓練になり、自らの神経調節能力を高めます。

回復しにくい神経・感覚的疲労を、自らの抵抗力を高めることによって回復させようというのが、この入浴法のねらいです。

●コンディションを整えるのは温冷交代浴

疲れた、早起きがつらい、食欲がない、仕事に熱中できない、眠りが浅く、ささいなことが気になってならない。しかし医学的検査を受けても、とくに悪いところもない。どうしたんだろうという現代人にとって、調子を取り戻すサウナ浴は温冷交代浴がよいでしょう。

シャワーを浴びてサウナに約10分間入ります。汗がどんどん出たところでシャワーで汗を流して、水風呂に1~2分つかり、再びサウナに入ります。まもなく汗が出てきて、またシャワー・水風呂とくり返します。

こうした温冷交代浴は、生活習慣病をもった人にはすすめられません。しかし、温冷交代浴は、自らの自然治癒力を活かし、交感神経(自律神経)の働きを活発にして、生理機能を高めてくれる効果がありますので、積極的に実践していただきたいのです。

ドイツサウナマイスターテキストでは、おおむね以上のような指導を行って効果をあげています。

眠りを誘うサウナ浴

眠りの浅い人、寝付きの悪い人、刺激に敏感で寝入れない人などに、安眠のためのサウナ浴は有効です。

ぬるめのサウナにゆっくり入り、汗の出たところで冷水浴をして、からだの熱をとってから、しばらく安静にしてそのままベッドに入ります。

ぬるいサウナに15~20分入ることは、神経を静め、緊張を解き、興奮を抑制する作用があるからです。

しかし、寝る前には飲むとか食べることをせず、陽気な夜のリズムはつくらないように心がけることが大切です。また、敷きぶとんはやや硬く、掛けぶとんは軽く、冬は暖かく、夏は涼しくなど、寝具に工夫することも安眠するための条件です。

美容のための入浴法

サウナは汗で皮膚を内部組織から清潔にして、老廃物を除きます。そのうえ、皮膚の血行をよくして、皮膚への栄養の供給を活発にするので、サウナ浴の美容上の効果は大きいのです。

しかし100℃の高温サウナは、湿度が10~15%になり空気が非常に乾燥しているので、皮脂を失い、水気を取り去り、皮膚を痛めることにもなりかねません。

したがって、ぬるめのサウナに入り、風呂を併用するのが有効です。薬湯を用いるのもよいでしょう。

全身美容浴は、ぬるめの温度に長時間(自分に合った時間)入って、汗をよく出すのが決め手です。一回のサウナ浴で皮膚の汗腺が開きますから、石けんなどで皮膚表面の汚れを落としながら、スポンジか柔らかいタオルでこすります。皮膚の表面の角質層も軟化しているので、汚れがよく取れ、しかも皮下組織の血行をよくするのです。2~3回反復するとなお効果があります。

美しいプロポーションづくりには、自分の肥満度(体脂肪率)を正しく知って、計画的なトータル減量法を心がけることが大切です。

サウナの種類

長い歴史の中で、サウナ室も、ストーブ(キウアス)もいくつかの変遷を経ましたが、現在の標準的なものを紹介します。日本では営業用サウナが主流ですが、フィンランドでは個人の家庭用サウナが主流です。

●加熱方式でのサウナストーブの分類

対流型と放射型の二つに大きく分かれます。

対流型放熱器とは、電気を熱源としたもので、一般にフィンランド式サウナストーブと呼ばれるタイプです。対流により高温低湿の空気を作るもので、サウナ室が暖まればストーブや壁・天井からの輻射熱が放射されます。室内温度は80~90℃が一般的です。

放射型はガスを熱源としたものが一般的で、遠赤外線を放射させ、高温低湿の空気を作るものです。一般にサウナ室は70~80℃の低温にしています。

対流式と放射式の両方の特徴を備えた併用型タイプのものも開発されています。

●被災地で活躍しているテントサウナ

時代を遡れば石器時代のフィンランド人はテント生活でしたし、サウナの歴史もテントから始まったといわれています。テントも動物の皮から特殊な布に代わり、ロシアとの戦いでは前戦でテントサウナが使われていました。現代ではさらに改良され、イベント等でもテントサウナが活躍しています。

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